【現役寿司屋の行政書士が解説】深夜酒類提供の図面審査で警察に突き返されない「内法(うちのり)」実測と客室区分の盲点

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「新しくバーや居酒屋の深夜営業を始めたいけれど、警察署に出す図面の作り方がわからない……」 「ネットで見つけた間取り図を真似して提出したら、警察の窓口で何箇所も修正を指示されて途方に暮れている……」

深夜酒類提供飲食店営業の届出において、最も高く、そして最も多くの方が挫折するのが「実測と図面作成」の壁です。

実は、一般的な建築図面や不動産の間取り図は、壁の中心線から測る「壁芯(へきしん)」で描かれています。しかし、警察署の審査で求められるのは、実際に人が利用できる内側の空間をミリ単位で測った「内法(うちのり)」計算です。この違いを知らずに提出し、何度も警察署に通う羽目になるケースが後を絶ちません。

この記事では、日々レーザー距離計を持って店舗の現場実測を行い、Jw_cadで図面を引き直している行政書士であり、同時に宇都宮で現役で寿司屋の厨房にも立つ筆者が、警察の審査を一発でクリアするための「内法実測のツボ」と「客室レイアウトの落とし穴」を現場目線で徹底解説します。

深夜酒類の図面作成で9割の人がつまずく「内法(うちのり)」と「壁芯」の違い

お店を借りた際に不動産屋からもらう間取り図や、内装業者の建築図面。これをそのままコピーして警察署へ提出しても、ほぼ間違いなく受理されません。その最大の理由が、面積の計算方法の違いです。

一般的な図面は、柱や壁の厚みの中心を基準とする「壁芯(へきしん)」で面積が計算されています。 しかし、風営法や深夜酒類提供の基準では、壁の内側から内側の空間を測る「内法(うちのり)」で面積(有効面積)を算出しなければなりません。

壁芯の図面をそのまま使うと、実際の客室面積よりも数字が大きく出てしまいます。警察は「実際に客が利用できる正確なスペース」を求めているため、この面積計算の根拠となる「求積図(きゅうせきず)」と「求積表」が内法で正確に作成されていないと、窓口で厳しく突き返されてしまうのです。

現場実測でレーザー距離計が必須となる3つの理由

内法での正確な図面を作るには、現場での再測量が欠かせません。私は現場へ入る際、必ずレーザー距離計を使用しています。市販のメジャー(巻き尺)だけでは不十分な理由は以下の3つです。

  1. 数ミリのズレが命取りになる 巻き尺は長く伸ばすとたるみが生じ、どうしても誤差が出ます。警察の審査では図面上の面積と計算式の完全な一致が求められるため、たるみのないレーザー距離計でのミリ単位の計測が必須です。
  2. 複雑な柱やカウンターの凸凹を拾う 実際の店舗は綺麗な四角形とは限りません。装飾の柱があったり、カウンターが斜めにカットされていたりします。これらをJw_cadで正確に作図するには、レーザーで複数のポイントから距離を測り出す必要があります。
  3. 一人でも正確かつスピーディーに測れる 開店準備で忙しいオーナー様の時間を奪わないためにも、現場実測は短時間で正確に終わらせる必要があります。

警察の審査官が見ている「見落としがちな客室・設備」のチェックリスト

深夜営業の届出とはいえ、図面審査の厳しさは風営法の許可申請に迫るものがあります。特に以下の3点は、現場の実測時に見落としがちな要注意ポイントです。

  • 【高さ1mの壁】 客室内に「高さ1メートル以上」の障壁があると、見通しを妨げる設備として指導の対象になったり、客室が分断されていると判断されて面積要件(1室9.5平米以上など)に引っかかったりします。ボックス席のソファの背もたれや、パーテーション、造り付けの荷物置きなどの高さは要注意です。
  • 【照明設備(スライダックストラップ)】 天井のダウンライトなどの位置だけでなく、スイッチも必ず確認されます。明るさを自由に調整できる「スライダックス(調光器)」がついていると、明るさを基準値(20ルクス)以下に落とせてしまうため、スイッチの変更や固定を指導されるケースが多々あります。
  • 【客室と非客室の境界線】 客席やカウンターは「客室」ですが、厨房、トイレへの通路、レジカウンター前のスペースなどは「客室」から除外して面積を計算しなければなりません。床材の切れ目などを根拠に、どこからどこまでを客室とするか、図面上での明確な線引きが求められます。

現役の飲食店主だからわかる「営業動線」と「届出要件」の両立

図面上で法令の要件を満たす線を引くこと自体は、CADの操作に慣れていれば可能です。しかし、無理やり客室と非客室の線を引いた結果、「スタッフがお酒や料理を運ぶ動線が崩れてしまう」ようでは、お店として成り立ちません。

私は行政書士であると同時に、自らも実家の寿司屋を継ぎ、厨房で料理を作り、お客様へ配膳を行っています。 だからこそ、図面を引く際には「保健所や警察の要件をクリアすること」はもちろん、「忙しい時間帯でもスタッフが安全かつスムーズに動けるレイアウトになっているか」という、現場で働く料理人・経営者としての視点を絶対に忘れません。

法令をクリアするだけでなく、実際の店舗運営がうまく回るための空間設計。この「図面を描く行政書士」と「厨房に立つ大将」の2つの視点が生み出すバランスこそが、実務において最も大切だと考えています。

まとめ|深夜営業のスピード立ち上げには「正確な一次情報(実測図面)」が不可欠

深夜酒類提供の届出は、用途地域の確認から始まり、精密な現場実測、CADでの図面作成、そして警察窓口での折衝と、非常に専門性が高く労力のかかる手続きです。

昨今では、警察署の窓口でも「図面作成は専門家である行政書士へ依頼するように」とアナウンスされるケースが増えてきました。それは、内法でのミリ単位の図面作成が、一般の方には極めてハードルが高い実務だからです。

オープン前の貴重な時間を図面作成のやり直しで消費しないためにも、ぜひ一度、現場を知る専門家へご相談ください。

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